ラストPDとは?|訪問看護で支える在宅腹膜透析の最終段階ケア
ラストPD(Last Peritoneal Dialysis)とは、腹膜透析(PD)による透析治療の最終段階を指します。
腎機能の悪化や腹膜機能の低下、感染症などにより腹膜透析の継続が困難となった場合、治療方針の見直しが必要になります。
特に高齢の方や併存疾患の多い方にとって、ラストPDは「治療の終わり」ではなく、「生活と意思を大切にした選択の始まり」でもあります。
私たち訪問看護ステーションでは、ラストPDを迎える方が安心して自宅での療養を継続できるよう、医師や透析施設、薬局、ケアマネジャーと連携しながら支援を行っています。
腹膜透析とは?
腹膜透析は、自宅でできる腎代替療法の一つです。腹腔にカテーテルを留置し、腹膜を介して体内の老廃物や余分な水分を排出します。
生活に合わせやすい(在宅で実施可能)
自己管理能力が問われる(本人や家族の協力が必要)
感染リスク(腹膜炎など)への注意が必要
しかし、長期間にわたり腹膜透析を続けると腹膜の機能が徐々に低下し、十分な透析効果が得られなくなる場合があります。
ラストPDのタイミングと判断
医師による判断や検査所見(腹膜透過性の悪化、Kt/Vの低下、体液過剰など)、頻回の腹膜炎、生活の質の著しい低下などが、ラストPDの判断材料になります。
患者本人・家族と相談しながら、以下の選択肢が検討されます
血液透析への移行
保存的腎不全治療(非透析)への移行
緩和的アプローチへの移行(終末期ケア含む)
食事指導

訪問看護が提供する専門的なケア
ラストPDの場面では、医療的なケアと同時に、患者本人と家族の価値観を大切にした看護が求められます。
1. 腹膜透析管理の支援
CAPDバッグ交換の支援:患者や家族が行うバッグ交換の手技を確認し、必要に応じて指導や支援を行います。
カテーテル出口部の観察とケア:感染予防のため、出口部の清潔保持や異常の早期発見に努めます。
透析液の管理:透析液の在庫管理や保管方法の確認を行い、適切な使用を支援します。
2. 健康状態の観察と管理
バイタルサインのチェック:血圧、脈拍、体温などを測定し、健康状態を把握します。
食事指導:適切な食事指導を行います。
体重管理:体重の変化を観察し、体液バランスの調整に役立てます。
症状の観察:腹膜炎の兆候や他の合併症の早期発見に努めます。
3. 精神的サポートと家族支援
心理的サポート:患者や家族の不安やストレスに対して、傾聴や助言を行います。
介護者への指導:介護方法や病状への対応について、家族への指導や相談対応を行います。
レスパイトケアの提供:家族の負担軽減のため、一時的な介護支援を提供します。
4. 多職種連携によるACPの推進
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の支援:患者の意思決定を尊重し、医師や他の医療従事者と連携して、今後の治療方針やケアについて話し合いを行います。
ラストPD=最期の時間を自宅で過ごす選択肢
腹膜透析の最終段階においては、「治療のゴール」を医療的視点だけでなく、「生活のゴール」「人生のゴール」としても捉える必要があります。
透析をやめる=諦める、ではなく「自分の望む暮らしを選ぶ」こと
医療の縮小ではなく、ケアの深化
治療から生活支援・緩和ケアへのスムーズな移行
堺市でラストPDに対応する訪問看護を提供します
私たちは堺市で、在宅腹膜透析患者さまのサポートを多く行ってきました。透析導入期からラストPD、終末期までを一貫して見守る体制を整えています。
「自宅で穏やかに過ごしたい」「透析を続けるのが辛くなってきた」 そんなときこそ、訪問看護師にご相談ください。治療を続けるかどうかにかかわらず、「その人らしさを大切にした暮らし方」を一緒に考えていきます。
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