訪問看護ステーションの運営に欠かせない存在が「管理者」です。 ここでは、管理者の役割、資格要件、課題やスキル、給与・待遇、キャリアパスまでを表や事例を交えて解説します。
1. 訪問看護における管理者の役割とは
管理者は「ステーションの要」として、看護の質と組織運営の両立を担います。
主な役割 | 内容 |
事業運営 | 人員配置、収支管理、法令遵守 |
看護の質保証 | 記録の確認、カンファレンスの運営 |
スタッフ育成 | 教育体制づくり、OJT、ラダー制度 |
地域連携 | 医師、ケアマネ、病院、行政との窓口 |
緊急対応 | 夜間・休日を含む安全な対応体制の確保 |
2. 管理者になるための資格と要件
訪問看護の管理者には法律上の条件があります。
必要条件 | 内容 |
資格 | 看護師免許(准看護師は不可) |
経験 | 臨床経験5年以上が望ましい |
雇用形態 | 常勤であること |
その他 | 在宅経験やマネジメント経験があると有利 |
3. 管理者が直面する主な課題
訪問業務と管理業務の両立
スタッフ間の調整(年齢・経験差など)
採用・人材定着の難しさ
収支管理や加算要件の複雑さ
24時間対応体制の維持
4. 管理者に求められるスキルとは?
スキル | 具体例 |
臨床判断力 | 急変時の判断、スタッフからの相談対応 |
マネジメント力 | 人材育成、シフト調整、収支管理 |
コミュニケーション力 | 医師・家族・多職種との調整 |
リーダーシップ | チームをまとめ、方向性を示す |
制度理解力 | 医療保険・介護保険制度や加算算定の知識 |

5. 現場の工夫と実践例
情報共有:電子カルテやチャットツールで迅速に連携
教育体制:勉強会やラダー制度で成長をサポート
働き方の柔軟性:時短勤務やシフトの調整で離職防止
地域連携:医師や薬局との合同カンファレンス開催
6. 管理者の給与・待遇について
項目 | 水準(目安) |
年収 | 500万〜700万円程度 |
手当 | 管理者手当、オンコール手当 |
上限 | 規模や実績によっては800万円超も可 |
責任が大きい分、一般の訪問看護師よりも高めに設定されています。
7. 今後の展望とキャリアパス
機能強化型訪問看護ステーションの管理者
複数事業所を統括するエリアマネージャー
認定看護師・特定行為研修修了者との協働による専門性強化
教育・研修分野へのキャリア展開
管理者は、現場と経営の橋渡し役として、今後ますます重要な役割を担うことが期待されます。
8. まとめ
訪問看護ステーションの管理者は、 利用者・家族・スタッフ・地域をつなぐ存在であり、現場と経営の両面を支える重要なポジションです。
やりがいと同時に課題も多いですが、在宅医療を支える上で欠かせない役割です。 将来管理者を目指す方は、臨床経験に加えてマネジメントや制度の知識を少しずつ磨いていくことが第一歩となります。